ポートメッセなごやで開催されたエクステリア&ガーデンフェアの報告もいよいよ第6弾を迎えました。今回は、株式会社丸三タカギさんのブースで出会った、これからのエクステリアデザインを予感させるユニークな表札の数々について詳しくご紹介したいと思います。
丸三タカギさんは、IELOGOという表札ブランドを中心に、多岐にわたるニーズに応える豊富な商品ラインナップを展開されている企業です。そのブースに足を踏み入れてまず目を奪われたのは、これまでの常識を覆すようなデザインのライトアップ表札でした。
単に文字が光るというライトアップ表札は以前から存在しますが、この表札は、その光が表札の角を巻き込むようにデザインされている点が非常に特徴的でした。実用性だけを考えれば、もっとシンプルな形状でも事足りるかもしれません。しかし、一歩踏み込んだような、細部にまでこだわりを感じさせるこのデザインは、訪れる人の目に「おや?」と思わせる仕掛けがあります。
個人的には、このようなちょっとしたサプライズや遊び心が見て取れると、思わずニヤリとしてしまうものです。「いいね」と心の中でつぶやき、そのセンスに感心しました。
もちろん、このような細部へのこだわりは、その住まい全体の完成度への期待値を自然と高めてしまうものではあります。しかし、それは決してハードルを上げているのではなく、住まい手の明確な意思や、こだわりが見て取れる証拠であり、むしろ好印象に繋がるのではないでしょうか。
そして、その素材感が非常に魅力的な表札がこちらです。
並べられていた表札は、どれも表情豊かで、特に左側に展示されていた4パターンの表札は、金属の質感と表情を最大限に生かした強い力を放っていました。
中でも、ひときわ目を引いたのが「黒皮鉄 赤銅E」と名付けられた表札です。
これは、まるで長年の風雨に晒されて錆が浮き出たかのような加工が施されており、その無骨なまでのリアリティは、最近注目を集めている「荒々しい庭造り」との相性が抜群だと感じました。
無垢の鉄筋やアイアン素材を多用した、インダストリアルな雰囲気の庭や、ヴィンテージ感を追求した空間に、この表札を配置すれば、その世界観を一層深めることができるでしょう。まさに、素材が持つ力を最大限に引き出した、唯一無二の存在感を放っていました。
今回の展示会では、多くのブースで様々な種類の表札を目にしましたが、これほどまでに無骨なアイアン素材に特化し、その表情を追求した商品は、私の記憶にはありません。表札一つとっても、そのデザインや素材感に込められた思いは千差万別で、まさに「価値観の多様化」が顕著に表れていると感じます。
久しく言われている「価値観の多様化」という言葉ですが、このような細部にまで徹底的にこだわった商品が、果たしてどれだけ多くの人々を購買行動へと導くのか、正直なところ気になるところです。少し生々しい話に聞こえるかもしれませんが、消費者がそのような「尖った商品」に対して、どこまで対価を支払うことができるのか、あるいは支払おうとするのかは、その文化の成熟度を測る上で非常に重要な要素であると私は考えています。
だからこそ、今回出会ったような、デザイン性、素材感、そしてコンセプトにおいて、一歩先を行くような尖った商品が、しっかりと採算ベースに乗ってくれることを心から願っています。私たち庭に携わる者として、庭という文化の一端を担う者として、このような挑戦的な商品が市場に受け入れられ、多様な価値観が花開くことで、庭を取り巻く文化がより一層豊かになっていくことを期待しています。
次回のエクステリア&ガーデンフェア報告も、どうぞお楽しみに。まだお伝えしきれていない魅力的な出会いが、きっと皆さんを待っています。
株式会社丸三タカギ
https://www.marusantakagi.co.jp/