2018年07月02日
いよいよ台杉仕立てのスギを植えていきます。
今回は大中小の3本を庭の南西にまとめて植栽します。
細く真っ直ぐ何本も立ち上がる幹が持ち味の台杉ですが、一本だけではその持ち味は活かしきれません。
というのは、台杉がなぜ独特の形をしているのか?というと、これは建築資材を効率よく採取するために編み出された育成方法がルーツだからなんですね。その産地である北山地方へ行くと、それこそ立錐の余地も無いほどに細い幹が立ち上がっていて、そういう縦にストレートな力を、見る人へ発揮するには、一本では足らない事が分かります。
せめて三本。それで台杉の持つ大きな縦への力を発揮させ、庭の外に見える電柱の野暮な気配を緩和させられると感じたのです。
同時進行的に石工事も進めていきます。
手前の石は大きく、奥の石は少し小さく、いわずとしれた遠近法。
庭造りのシーンでも重宝する技法ですが、庭に出て何かするという事が多い庭の場合はあまり効果は発揮しません。絵画のように眺めるからこそ、絵画のような技法が成立するので、その場に行ったら、ただの大きい石と小さい石になってしまうので、注意して下さい・・・
大きめの木が植え終わりました。
一日で庭の様子がガラッと変わる工程ですね。ここからは仕上げに入っていきます。
2018年06月29日
庭石を据えていきます。
まず地割します。
「じわり」とは簡単に言うとどこに何を置いたり植えたりするかという目安の事です。
また、土を盛って山にする位置や輪郭なども指示します。
棒で地面に線を引いたりスプレーで印をしたり。
ここで職方と共通意識を取れれば、ほぼ大丈夫です。段取り八分と言われる所以なのかもしれませんね。
位置が決まったらドンドン据えていきます。
写真に写っている丸太、懐かしい世代の方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは「たつ棒」と呼んでいるもので、チェーンブロックという人力クレーンを高い位置に設置するための道具なんですね。
クレーン車の届く場所なら必要無いのですが、どうしても届かない、しかし微妙な石の角度が大事、という場合にウチでは使います。また、小さめの庭木撤去の際にも威力を発揮します。
なかなか役に立つ道具です。
石を据えながら盛り土も同時に行っていきます。
手間仕事が多い大変な工程ですが楽しい庭造り仕事は、皆嬉々として取り組んでいます。
2018年06月25日
それでは玄関先の小庭に移っていきましょう。
庭木を360度全方向から花も実も観賞できて、落葉で和庭に合うエゴノキを主に、古銭鉢という手水鉢と庭石で構成します。
まずは構想の共有から。
古銭鉢は「こせんばち」と読みます。古いお金を模した形をしているのでそう呼びます。
使ったのはよくあるタイプの鉢で真ん中にくり抜かれた四角い穴を口(くち)という感じに見立てると、「吾唯知足(われただたるをしる)」と読めます。
これは京都の竜安寺というお寺にある手水鉢を模した鉢で、言葉の意味は「貴方はもう満たされている事を知りなさい」とかそういうニュアンスの言葉です。
閑話休題。
各種設置をしたら
タマリュウで築山を土留めして完成。
ヒイラギナンテンとカンツバキもあしらいました。
2018年06月22日
お客様が困っていた排水の問題についてです。
玄関ポーチの横から雨水のパイプが飛び出していて、家のすぐ横が水浸しになっています。
まあ問題ないのかもしれませんが、家の基礎に近い所が大雨のたびに湖になるのは、やはり気持ちの良いものではありませんので、何とかしたいとご依頼を受けました。
古い瓦を縦に接続しながら並べて、縁取りして行きます。
瓦を並べたこの縁取りは昔からある技法で、和風のおうちにはピッタリです。
瓦と犬走りの間をモルタルで埋めます。これで、玄関ポーチから出た雨水はこの変則的な側溝にキャッチされ、犬走沿いを伝って建物西側にある排水マスへと繋がりました。
もう、雨が降るたびにビショビショになる事はありません。
最後に、鮮やかな白玉砂利を敷き、排水路の完成です。
排水路としての機能は勿論ですが、屋根から滴り落ちる雨粒が地面に当たって泥がはねて基礎が汚れるのも防げると思います。
2018年06月18日
台杉を植えるメインの庭はひとまず置き、まずは斜面アプローチの道路脇、一番低い部分を改修します。
マメツゲ、ハイビャクシンは不要。とにかく手を入れなくてもいいようにしたいとのご要望。
植栽を一旦全て取り除き、地元で産出する石を使って段々を再形成します。
段を切るように石を並べ
タマリュウで覆ってしまいます。
これで、メンテナンスはほぼ不要。緑の濃い葉っぱが年中あり、ちょっと棚田の雰囲気も醸し出せます。
もう少し多めに石を使って段をシッカリ取り、棚田感を出したかったですが、色々事情もあり、このレイアウトに落ち着きました。
次回からはメインの庭へ入っていきます。