2021年04月12日
前回、庭木を掘るには、なかなか骨が折れるぞと覚悟を決めて移植作業に取り掛からなければいけないぞと言いました現場、いよいよ実際に庭木を掘り取ります。
建物の奥にある庭木から。
こちらは重機の入る隙間もなく、人1人が横向きになってようやく通れる隙間しかないので全て人力のみでの掘り取りです。
長らく庭に定着していた庭木ですので、細かい根っこがまんべんなく残っているわけもなく、ズン!ズン!と太い根っこを強引に切断して掘り取っていくしかありません。
太い根っこというのは、木全体の養分吸収の大部分を支えている場合が多いので、このままでは枯れてしまう可能性が高いです。
そこで、養分吸収を行う根っこの量とバランスをとるように地上部である枝葉の量も剪定によって減らします。
太い根っこがあってそれを切ってしまった場合は、その根っこに水分や養分の吸収量の大半を依存している可能性も高いので、より多くの枝葉を切除する必要が出てきます。
これでもか!というくらいに枝葉の剪定を行いました。

掘り上げた植木です。
根っこがきれいな円になっておらず、いびつな輪郭をしているのは、太い根っこに水分や養分の吸収を頼っている証。何とか根付かせたいですね・・・

すっかり掘り取りも終わって何だか広く感じる裏庭です。
ここで様々な家族ドラマが繰り広げられたのでしょうねぇ・・・などと感慨に浸っている場合ではありません。庭木を持ち出す通路も非常に細かったのですが、幸か不幸か根っこの状態も良くなくて大きな根鉢ではなかったので、何とか人力で持ち出すことができました。

懸案だった玄関前の大きなイヌマキの木ですが、どうせ解体するならとお施主様の承諾を得て、キツキツに植わっていた場所の縁ブロックごと破壊して庭木を取り出すことができました。このブロックを割るのにも一苦労。ようやく手にもてるくらいに重たい削岩機をガンガン動かし、横からもガガガガと割っていきながらなんとか作業スペースを確保しました。この縁ブロックを残せと言われたら、降参していたかもしれません(笑)
根っこの形はこちらの木も非常にいびつになっていて、ちょっと根付くかどうか微妙な感じではありますが、何とか根付かせたいです。
これで既存樹木の取り出しが全て終わりました。掘った庭木は一旦弊社の植木畑にてお預かりし、この作業は一旦ここまでで区切りとなります。
このあと、建物の解体、敷地の造成、新しい家の建築を経て約1年越しに庭造りに入っていくことになります。
2021年03月25日
もう何年前なのでしょうか?私も舩越造園に入社して四半世紀が経つのですが、それよりも前に舩越造園が施工した袖垣根をずっと気に入ってくれていた方が、住宅を新築されるという事で、庭造りをご依頼してくださいました。
もう何と言いますか、庭屋冥利に尽きるといいますか、逆にその当時に第一線で活躍していた庭師たちと、今現在において舩越造園で活躍してくれている庭師たちとの真剣勝負という所でしょうか?それは取りも直さず、当時社長だった先代と私との勝負でもあります。
これはもう、気持ちが引き締まります。

まずは四半世紀の永きにわたって気に入ってくれていた袖垣根のリサーチです。
欠き込んだ柱の天端に屋根型を打ち付け、ヌキ板で屋根を作る。見まごう事なき、舩越造園の仕事です。黒穂(だと思うのですが判別できず・・・)の束を多用した垣根のようです。
今回も袖垣根はリクエストに入っているので、気合が入りますね。


活かしたい庭木はいくつかありましたが、このイヌマキが一番の難題になると思われます。
既に立派に成長している庭木なのですが、ブロック塀に近く根っこが塀と干渉していることが明白です。これを掘り取るのは容易ではありませんが、お施主様が「活かして欲しい」とご要望されている限り、可能性は探っていきます。
幸い、ブロック塀も取り壊し予定だったので、住宅の解体前に当社が作業できるならば、既存のブロック塀を取り壊しながら庭木を掘り取ることも可能になってきます。
削岩機で横からブロックを壊しつつ可能な限りバックホウで根っこ周辺を掘り、難易度は高いですが頑張って掘り取りたいと思います。


また、既存庭の中にも新たな庭に活かしたい庭木があり、運び出すための通路がこれまた狭くて、ここをどう通過させるか?という所にもアイディアを出していかなければいけませんね。
こちらの仕事は、ある程度の予算感と構想を伝えてあとは庭屋さん任せという仕事になりました。
「ラッキー」なんてとても思えません・・・責任重大です・・・逆に図面と見積もりを出させてもらえる方が、気持ち的に楽です。
しかし、このような「ある程度庭屋さんに任せるよ!」という仕事も当社ではじわじわ増えつつあるのも事実で、当社の仕事を信頼して庭造りを注文して頂ける、本来ならば理想に近い庭造りができる予兆は感じています。
もっとも、先ほど言ったように、そのお任せ造園の規模が大きければ大きいほど、責任の重さも大きくて一歩引きたくなるのも事実なのですが、そういう信頼に応えようという使命感もまた不思議と強くなるので、「お任せ造園」ぜひご依頼をお願いします(笑)
2020年05月08日
防草シートとは、ウッドデッキの下や庭、玄関周り、駐車場など雑草の処理が面倒な場所や、雑草が生えてほしくない場所に敷くシートです。植物が成長するためには、日光、空気、水が必要ですが、防草シートにより日光を遮断することで草が生えにくくなります。そのため、遮光率の高いもののほうが、雑草が生えにくいということになります。除草シート、雑草防止シート、砂利下シートと呼ばれることもあります。

防草シートの専門店もあれば、100円均一の店、DIYショップなど販売している場所も色々あります。また、防草シートと一口で言っても、素材も値段もさまざまです。大きな違いが構造で、大きく織布と不織布の2つがあります。
●織布とは
繊維を織り込んだシートです。価格が安いため特に広範囲に使用する場合はコストを抑えることができます。ただし、強度が弱いものが多く、耐久年数が低かったり、とがった草などは突き抜けたりしてしまうこともあります。
●不織布とは
繊維を織らずに、絡み合わせて作ったシートです。強度が高いものが多く、ある程度の厚みがあり高密度であれば、とがった草が生えるのを抑えることができます。耐久性が高いものが多いのですが、その分コストも高くなります。
防草シートには、いくつかの素材があります。ポリエステルは、コストは高いのですが耐久性も高く、熱や紫外線で劣化しにくいのが特徴です。ポリプロピレンは環境にやさしく、酸性、アルカリ性などの耐性があります。その分紫外線に弱いというデメリットがあります。ただし、変形、劣化しにくい耐候剤を合わせて作られたシートもあります。
ほかにも、シートの厚み、目の粗さ、硬さなど、さまざまな違いがあります。シートを敷く面積、上に砂利を敷くかどうか、とがった草が生える場所、駐車場用として使うなど、状況に応じて適した防草シートを選ぶ必要があります。

防草シートの耐久年数は3年から10年ほどで、長いものだと15年というものもあります。注意したいのは、敷き方で耐久年数が変わってしまうということ。個人でも敷くことは可能ですが、敷く場所が平らでない場合や、選ぶ防草シートを間違えてしまうと、早い時期にシートが破れてしまったり、防草シートの効果を発揮しきれず、隙間やシートを突き抜けて雑草が生えてきたりしてしまうこともあります。防草シートの効果を最大限に引き出し、より長く雑草が生えないようにするためには、専門家に依頼するのもひとつの手です。
上の緑色のシートの写真は、当社でいつも使っている強力タイプの防草シートです。
非常に厚く、下からの突き破りに強いほか、紫外線に常時曝露していても劣化が遅く、シートの面積当たり材料単価は他のシートに比べて高いのですが、大変重宝しています。
下のグレー色のシートは不織布ではあるのですが、上の緑色と比べると耐久性が低く、紫外線にさらすと思ったような効果が見込めないことが分かっています。こちらは価格もお手頃な事もあり、砂利敷きとセットでご提案する際などで全体の価格を抑えたい場合などに使用しています。
2020年05月06日
基本的に松の剪定は大きく分けて2種類ありまして
5月中旬~6月上旬に行う芽摘みと
冬に行う剪定の2つです。
初夏に芽摘みを行わないと間延びした芽が出てしまってキレイな形作りに悪影響を与えてしまうので、早いうちに摘み取って細かい芽を吹き出し直させるという作業になります。
詳細は 松の剪定特設サイト へ


2020年02月14日
飛石とは日本庭園などに、土を踏むことなく歩けるよう、飛び飛びに配置した表面が平らな石のことです。設置する際は、石を半分ほど地中に埋めます。歩きやすいよう、40~60cmほどの歩幅を想定して、一定の距離を置いて石を敷いていきます。
間を開けずに石を敷き詰めたものは、延べ段と呼ばれます。

平安時代には、水の上に飛石を置いたとされています。その後、安土桃山時代になり、土の上に飛石が置かれるようになり、茶室の庭園の通称である露地(ろじ)に飛石が使われることが多くなりました。飛石に沿って客人が露地を鑑賞したり、飛石が茶室への導線となったりしたのです。
飛石には、いろいろなパターンの敷き方があります。飛石を敷くことを、打つともいうため、〇〇打ちという名称が多くあります。
【直打ち(ちょくうち)】
すべての飛石を真っすぐに並べる敷き方。最もシンプルな方法です。
【二連打ち】
2つの石をまっすぐに敷いたら、次の石を右もしくは左にずらして敷く敷き方。直打ちより変化があります。
【三連打ち】
3つの石をまっすぐに敷いたら、次の石を右もしくは左にずらして敷く敷き方。直打ちより変化があります。
【二三連打ち】
二連と三連を順番に、斜めになるように並べる敷き方。導線の方向を変える際にも使われます。
【千鳥打ち】
左右交互になるよう、石を1つずつジグザグに敷く敷き方。この方法が一番歩きやすいと言われます。
【厠掛け】
厠が空を飛んでいるように、3~4つずつ「く」の字に石を並べていく敷き方。
【七五三打ち】
おめでたい数字として用いられる奇数「七五三」を利用した敷き方。7つ、5つ、3つという単位で並べていく打ち方です。近くには大きめの石を、遠くに小さめの石を敷くことで、遠近法により広く見せる効果もあります。
【いかだ打ち】
石と石の途中に平行した二本の板状の石を並べる敷き方。2枚の石がいかだのように見えるためこのような名前になりました。

これらの敷き方を組み合わせることもあります。ほかにも四連打ち、三連打ちと四連打ちを組み合わせた三四連打ちなどもあります。
導線として飛石を打っていくパターンも重要ですが、その石の種類や間隔に工夫をする事で、歩く人の様々な環境を変える事もできます。
例えば、回遊式庭園などで景色が今ひとつ良くなかったり、周りをあまり見てほしくないエリアだったりした時には、小さな石を連続的に据えると、歩く人は足下に不安を感じるので、自然と下を向いて飛石を渡る事になります。
飛石は、日本庭園で多く見られるため、和風のイメージがあるでしょう。しかし現在では、石の代わりにタイルやガラス素材の飛石を使うことで洋風に仕上げることもあります。ほかにも、ステップストーンと呼ばれる、天然石材とコンクリートの平板を合わせたものなども使われることもあります。